ふとしたときに思い出してしまう、過去のつらい出来事。「もう大丈夫なはず」と思っていたのに、急に映像のようによみがえってきて、気持ちが乱れてしまう──そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
フラッシュバックは、心がまだ整理しきれていない感情や記憶が、何かのきっかけで意識の表面に浮かび上がってくる現象です。それは決して「弱さ」ではなく、それだけ大きな出来事だったという、心からのサインでもあります。
では、どうすればそのつらさを和らげることができるのでしょうか。
まず大切なのは、「今は過去の場面ではない」と自分に伝えることです。深呼吸をしながら、「今、自分は安全な場所にいる」「これは記憶であって、現実ではない」と言葉に出してみてください。たとえ独り言でも、脳にとっては“現実”を認識する助けになります。
次に、自分の五感を使って「今この瞬間」に意識を向けてみましょう。冷たい水で手を洗う、アロマの香りをかぐ、好きな音楽を聴く──こうした行動が、意識を“過去”から“現在”へと戻してくれます。
フラッシュバックに悩まされているとき、「もう治らないのでは」と不安になることもあるかもしれません。でも、少しずつ、自分に合った対処法を身につけることで、心は確実に回復していきます。つらさを抱えたまま一人で我慢しすぎず、必要に応じて専門家の手を借りることも、回復への大切な一歩です。