タイトル :
すすきのを 案内すかな スズメバチ
作成者 : ミロク
年代 : default_value_here
世界観 : ファンタジーワールド
テイスト : 浮世絵
景色 : 夕焼け
カラー : #ffa500
投稿日 : 2026年10月15日16:33
夕映えの川をはさんで、朱印の看板が連なる町。 すすきは金の波となり、風のたび、遠い鈴のように鳴った。
その岸辺に、和服の耳長き娘リラが立つ。 頭上では、城も寺も雲を抜け、ゆっくり空へ昇っていた。
「迷子かい」 声の主は、屋根より大きなスズメバチだった。 黒と黄金の翅に夕日を宿し、腰には古びた案内札。 「すすきのを、案内すかな」――蜂は、蜜のように笑った。
川底から河童が顔を出し、炎をたてがみにした獣が橋を渡る。 獣の吐息は熱く、すすきの穂先だけを赤く染めた。
リラが尋ねる。「空へ昇る道は、どこにあるの?」 蜂は答えず、川面に落ちた太陽を針でそっと指した。
その瞬間、町じゅうの看板が羽音を立てて舞い上がる。 紙片は一枚の地図となり、雲上の城へ続く光の道を描いた。 「迷子かい」は、誘いではなく、古い合言葉だったのだ。
リラは翅の影に乗る。夕暮れは、まだ誰にも知られぬ明日へ溶けていった。