エニモンネーム : ソラ
ユーザーネーム : リコ
エニモンの種族 : ウィザード
エニモンの容姿 : 男性
エニモンの年齢 : 10代
好きな世界 : アヤカシワールド
好きなテイスト : 和風
好きな色 : #ffa500
好きな動物 : 猫
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年9月6日15:40
幼い頃、雷術師の両親を魔獣に奪われ、魔法で誰かを守ると誓った。猫を師のように慈しみ、草原で風の流れを読む。理性を重んじる一方、命を救うためなら禁じられた術にも挑む、静かな反骨心を秘めている若き青年だ。
禁じられた術
【一 風の家】 ソラは、雷術師の家に生まれた。 金髪を風になびかせ、黒いジャケットで草原を歩く。 足もとには、師のように慈しむ白猫がいた。
両親を魔獣に奪われ、魔法で誰かを守ると誓った。だから、誰よりも努力した。そして、結果を出した。でも、いつしかそれが、傲慢さに変わっていることに気が付かなかった。
だから、病弱な姉サラが咳き込んだときも、 「すぐ元気になるよ。僕が絶対になんとかする」と笑った。 でも、その言葉が、姉の胸をどれほど冷たくしたのか。 ソラは、まだ知らなかった。
【二 残された家族】 サラは、生まれつき身体が弱かった。 医師は静かに告げた。二十五歳までは、生きられないだろう、と。 残されたたった一人の家族を失う未来が、ソラの前に決然とそびえたった。
「姉さんを、死なせない」 橙色の瞳に、風ではない光が宿る。 それは、禁じられた術の入口だった。 命を延ばせば、別の命が縮む。 力を与えれば、何かが壊れる。 生命の根源は、傾いた天秤のようだった。
【三 小さな実験室】 ソラは地下室に籠もり、サラと同じ症状のマウスを集めた。 小さな檻の中で、命たちは怯え、鳴き、弱っていく。 「姉さんを救うためだ」と、彼は何度も自分に言い聞かせた。
助手の魔術師が、青ざめた顔で止めた。 「もう、やめましょう。これは救いではありません」 ソラは振り返らず、「君には関係ない」と言った。
その一言もまた、誰かを傷つけていた。
【四 パンドラ】 ある夜、吐血したマウスに、ソラは術式を刻んだ。 手に巻きつく光の線が、赤黒い稲妻へ変わる。 部屋いっぱいに、絶叫が弾けた。
失敗した。そう思ったソラは、次の檻へ歩き出す。 けれど背後から、カリカリ、カリカリと音がした。 死んだはずのマウスが、檻を削っていた。
首が異様に伸び、手足も長くねじれている。 それでも、目だけは生きていた。
【五 罪のかたち】 檻が、きしむ。 マウスの声が、暗闇から這い出した。 「お前は、私たちの命を弄んだ。絶対に許さない」
ソラの膝は震え、床に落ちた。 命を救うはずだった術は、憎しみを生む力になっていた。 そのとき初めて、彼は自分の罪を見た。
獣が檻を破る。 長い首が、蛇のようにソラへ飛んだ。
【六 姉の時間】 ドアが、轟音とともに開いた。 サラが、息を切らして立っていた。 時間だけが、ゆっくりと流れ始める。
「ソラ。ありがとう。でも、ダメなことはダメなの」 「でもね、ありがとう。あとは、お姉ちゃんに任せて」
獣の牙が、サラの胸を貫いた。 それでも彼女は、微笑んでいた。

【七 遠い場所】 サラの指先から、青い時計の輪が広がる。 時空間魔法。父母から受け継いだ、最後の術。 彼女は自分と獣を、遥かな時空へ移した。
光が消えたあと、研究室には静けさだけが残った。 床には、両親の形見である指輪がひとつ。 ソラはそれを両手で包み、声を枯らして泣いた。
失ったのは、姉だけではなかった。 自分が信じていた「正しさ」も、砕けていた。
【八 優しい嘘】 「ソラ、大丈夫。間違えたら、戻ればいいの」 遠いどこかから、サラの声が届く。 「でも、罪がなくなるわけじゃない。それだけは忘れないで」
「姉さん。僕は、とんでもないことを……」 「大丈夫。私はソラのお姉ちゃんだから」
声は、風の向こうへ薄れていく。 「また会えるわ。そんな気がするの。だから、大丈夫。またね」
それが、姉のついた最後の、優しい嘘だった。
【九 帰る道】 朝、草原で猫が鳴いた。 ソラは指輪を胸にしまい、壊れた研究室を見つめる。 風は、罪を消さずに、ただ次の方向を示していた。
彼は禁じられた術の書を閉じた。 けれど、捨てはしなかった。 いつか償うために、そして二度と命を弄ばないために。
金色の髪を風になびかせ、ソラは歩き出す。 遠い時空のどこかで、姉の声がまだ、彼を呼んでいる気がした。