エニモンネーム : トキ
ユーザーネーム : ミロク
エニモンの種族 : フェアリー
エニモンの容姿 : 女性
エニモンの年齢 : 20代~
好きな世界 : ファンタジーワールド
好きなテイスト : アニメ
好きな色 : #ffc277
好きな動物 : パンダ
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年9月11日8:15
森の奥で生まれたフェアリーのトキは、火や雷よりも木々の息吹を尊ぶ。幼い頃からパンダの魔獣と遊び、森は誰もが支え合う家だと信じてきた。傷ついた者を見捨てず、魔法は守るために使うと心に深く強く誓っている。
木々の息吹
【一】 森の奥、朝露をまとった木々のあいだから、トキは生まれた。 金の髪には白い花を飾り、淡い衣は葉のように揺れる。 彼女は火よりも、雷よりも、根を伝う静かな息を愛した。
【二】 幼いころから、トキの隣にはパンダの魔獣・ガンガがいた。 大きな背に乗り、ふたりは傷ついた獣や枯れた草を見つけては、森の奥へ運んだ。 「森は、ひとりで生きる場所じゃないもの」 トキはいつも、そう笑った。
【三】 ある年、森の外から人間たちがやってきた。 彼らの村は干上がり、病が広がり、子どもたちは眠れずに泣いていた。 トキは樹液から薬をつくり、木々の息吹を分け与えた。 それは、森の命を少しずつ削る魔法だった。
【四】 「どうか、もう一度だけ助けてください」 村人たちは涙を流し、何度も頭を下げた。 トキは疑わなかった。 善意は、善意のまま返ってくるものだと信じていた。
【五】 しかし村人たちは、森の中心にある《無の泉》を見つけた。 そこでは音も光も、記憶さえも消えていく。 無は、触れたものを空白に変える代わりに、どんな病も、どんな死も消せる力だった。 人間たちは、トキの薬を盗み、泉の場所を聞き出した。

【六】 その夜、森に鉄の音が響いた。 木々は切られ、花は踏みにじられ、パンダたちは矢に倒れた。 トキが泉の前へ駆けつけたとき、村長は冷たい顔で言った。 「森ひとつで、村全体が救える。おまえも誇りに思え」
【七】 ガンガはトキをかばい、胸に深い傷を負った。 彼の黒い瞳から、いつもの光が消えていく。 トキの手のひらで、木々の息吹は細く震えた。 その瞬間、彼女の中で何かが折れた。
【八】 「ならば、あなたたちから先に、失えばいい」 トキは無の泉へ指を沈めた。 村人の名も、家の形も、罪を悔いる心さえも、白い空白へ溶けていく。 森を焼いた者たちは、自分が何者だったのかすら忘れた。
【九】 復讐の魔法は、あまりに静かだった。 炎も雷もなく、ただ足音と声と過去だけが消えていく。 トキは森を奪った人間たちを、ひとり残らず無へ送った。 それでも、胸の奥の痛みだけは消えなかった。
【十】 やがて彼女は、森を守るために近づくものすべてを拒むようになった。 助けを求める声にも、疑いを返した。 「誰も、私たちを裏切らないとは言えないもの」 その言葉に、ガンガは弱々しく首を振った。
【十一】 傷ついたガンガは、消えかけた命でトキの手を握った。 「それでも……ぼくは、きみを見捨てない」 その声は、枯れかけた木の根を通り、森じゅうへ広がった。 トキの指先から、無の透明さがゆっくり剥がれていく。
【十二】 泉は、彼女の復讐も、愛も、等しく飲み込もうとしていた。 トキはガンガを救うため、泉の底へ降りる。 失った森を取り戻すのか、彼とともに無へ沈むのか。 木々はまだ、答えではなく、小さな息吹だけを返していた。