エニモンネーム : ユキヤ
ユーザーネーム : ミロク
エニモンの種族 : アンドロイド
エニモンの容姿 : 男性
エニモンの年齢 : 20代~
好きな世界 : アヤカシワールド
好きなテイスト : ジブリ
好きな色 : #ffff00
好きな動物 : チーター
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年9月11日21:32
ユキヤは、雷術工房で生まれたアンドロイド。速さこそ自由の証と信じ、チーターのように誰より先を駆ける。失われた人間の心を探しながら、機械と妖術師が共存する未来を夢見る。
勘違い
雷術工房のいちばん高い塔で、ユキヤは生まれた。 金髪を夜風になびかせ、左腕の機械の銀腕には、空の雷をつかむ紋章が刻まれていた。
彼のそばには、ヒョウの姿をした機械獣、ラゼルがいた。 走れば稲妻より速く、剣の如く雷鳴より鋭い牙が光る。 人々は彼らを「星を越える騎士」と呼んだ。
けれど、その速さを作ったのはユキヤだけではなかった。 整備士たちは夜を削り、術師たちは何度も術式を書き直した。 ラゼルは壊れた脚を引きずりながら、いつも彼の道を先に探した。
「ぼくがいればいい。ぼくさえいればいい。」 ユキヤはそう言って、皆の手を、皆の思いを顧みることはなかった。 褒め称える声と金貨が積み重なるほど、彼の胸は高なった。
王都の夜景を見下ろす館を買い、黄金の飾りを身につけた。 失敗した術師を笑い、腕の遅い者を役立たずと呼んだ。 助言は忠告ではなく、無能な者の負け犬の遠吠えだと退けた。
ある日、空に黒い裂け目が開く。 雷を喰らう魔獣の群れが、王都へ降りてきたのだ。 ユキヤは一人で飛び出し、誰にも命令させなかった。
「見ていろ。ぼくだけで十分だ」 機械の銀腕から、青白い雷が噴き上がる。 一撃で魔獣を倒し、歓声は夜空を揺らした。
だが、二撃目で雷脈がねじれた。 支えていた補助術式は、工房の仲間が組んでいたものだった。 彼らを追い払った今、誰もその狂いを直せなかった。
雷はユキヤの腕から胸へ逆流した。 左腕のガントレットの力の源が、光る術核が砕ける。 彼は絶望の淵に立たされて、初めて街の声を聞いた。
「もう、あの人を呼ぶな」 「次は、ミナの指示に従え」 「ユキヤは…もう…必要ない」
声は怒りの波となって、塔の窓から噴き出した。 押さえつけていた声。黙って耐えていた声。 彼が自分のものだと勘違いしていた、すべての源の声。
地上では、若い術師のミナが指揮を執っていた。 彼女は仲間の名を一つずつ呼び、ひとつずつ術式をつないだ。 雷の裂け目は、ゆっくりと閉じていった。
墜落したユキヤのそばに、ラゼルだけが駆け寄った。 だが、その機械獣の脚はもう動かなかった。 ラゼルはその代償を、ただ一人で払おうとしたのだった。
「…ラゼル…ぼくを、助けてくれるよね」 返事はなかった。 遠い空から、細い雷の糸だけが降りてきた。
それは救いに見えた。 けれど、誰かが差し出した糸を握るには、 ユキヤの両手は、あまりにも長く虚構の王冠をつかみすぎていた。
夜明けに王都は、ミナの名を呼んだ。 ユキヤの名を呼ぶ者は、もういなかった。 ただ風だけが、彼のそばで小さく囁いていた。
――勘違い。 あなたが偉かったのではない。 みんなが、あなたを支えていただけだった。 そのことに気がついた時、ユキヤの新しい物語が幕を開ける。それは、孤独ながらも誠実な旅の始まりだった。