エニモンネーム : カイオウ
ユーザーネーム : ミロク
エニモンの種族 : ビースト
エニモンの容姿 : 男性
エニモンの年齢 : 30代~
好きな世界 : ネイチャーワールド
好きなテイスト : 漫画 (日本)
好きな色 : #ffe81b
好きな動物 : タヌキ
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年10月26日16:24
幼い頃、火災で故郷を失い、雷雨の夜にタヌキに導かれて生き延びた。以来、力は支配ではなく共生のために使うと決める。豪快で面倒見がよく、いつか全種族が安心して暮らせる森を築き、タヌキの楽園を作るのが夢だ。
タヌキの楽園
朝、森のはずれで、カイオウは鍋をみがいていた。 金髪が風に揺れ、黄色い瞳に、眠そうな空が映る。 そばでは、茶色と白のタヌキが、バンダナを結んでいた。今日も、昨日と同じ朝だった。
畑では、豆が芽を出していた。 川では、魚が銀色の腹をひらめかせていた。 何も起こらない。だからこそ、森は静かだった。
昼になると、住民たちが鍋を持って集まった。 鹿の親子、羽を休める鳥、岩陰から顔を出す小さな獣。 誰もが少しずつ食材を持ち寄り、カイオウは黒いシャツの袖をまくった。
「今日は、何をうまくする?」 タヌキが、紫色の芋を押し出した。 それは誰も食べられなかった、こんにゃく芋だった。 カイオウは穏やかに笑い、片手のグローブで鍋をつかんだ。
皮をむき、煮て、焼いて、木の実の油を落とす。 塩の代わりに川辺の草を使い、最後に蜂蜜をひとしずく。 やがて、森じゅうに甘く香ばしい匂いが流れた。 こんにゃく芋は、ほくほくの月のような味になった。

次の日は、誰かがフグを持ってきた。 その次の日は、硬すぎる木の実。 さらに次の日は、苦くて誰も見向きもしない葉っぱ。 けれどこの楽園には、料理の達人がめっちゃいた。
カイオウが焼き加減を考えていると、タヌキの姿が見えなくなった。 森の小道にも、川辺にもいない。 鍋のふたの上には、茶色いバンダナだけが残されていた。
胸の奥に、遠い雷雨の音がよみがえった。 幼い日、炎に追われたカイオウを、あのタヌキは暗い森へ導いた。 雨の夜、ぬれた背中だけが、彼の前を歩いていた。 だからカイオウは、力を共に生きるために使うと決めた。
その約束が、楽園の最初の土になった。 夕暮れ、タヌキは戻ってきた。 背中には見たことのない白い茸、口には青い実。 遠い山の向こうから、美味しいものを探してきたらしい。 カイオウは、ただバンダナを結び直した。
「おかえり。腹は減ったか?」 タヌキは、鼻をひくひくさせた。 鍋の中では、今日の「食べられなかったもの」が、静かに美味しそうに煮えていた。 森の夜は、いつもより少しだけ長く、あたたかかった。
タヌキの楽園。 それは、なんでも美味しくしてしまう場所。 でも、美味しいものを見つけるたび、タヌキたちはどこかへ行ってしまう。 だからカイオウは、毎朝、空いた席をひとつ残しておく。
明日もきっと、何も起こらない。 誰かが新しい食材を持ち、誰かが遠くへ出かける。 そして帰ってきた者のために、カイオウは火を起こす。 森のどこかで、バンダナの茶色が、また風に揺れていく。