エニモンネーム : ユウ
ユーザーネーム : ケイ
エニモンの種族 : ケモノン
エニモンの容姿 : 中性
エニモンの年齢 : 30代~
好きな世界 : ネイチャーワールド
好きなテイスト : アメコミ
好きな色 : #ff0000
好きな動物 : ハムスター
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年9月27日0:45
ユウは森の鼓動を聞き、自然の力は支配せず共に育てるものだと信じる。幼い頃に干ばつからハムスターの群れを救い、以来、小さな命の声を大切にしてきた。争いのない森を築き、動物と人が笑える故郷を守るのが夢だ。
眠れない夜
【1 青い夜】 森の上に、眠れない夜が降りていた。 星はまぶたを閉じず、木々は風のないのにざわめいている。 赤髪を夜風に乱し、ユウは小さなハムスターの背負い物を揺らして歩いた。 ジャケットの下の胸で、森の鼓動が早く鳴っていた。
「眠れないのは、森だけじゃない」 褐色の目を細めると、遠くの村から、泣き声が聞こえた。
【2 村の灯り】 村人たちは皆、眠れずにいた。 子どもは夢をなくし、老人は昔の悲しみを思い出し、動物たちは巣の中で震えている。 井戸の水面には、月ではなく黒い影が映っていた。 影は夜ごと大きくなり、とうとう森の根まで伸びていた。
「眠りを盗む魔人がいるんだ」 村の少女が、枯れた花を握りしめて言った。
【3 眠りの魔人】 ユウは森の奥、倒れた巨木の洞へ向かった。 そこには、羊のような角と、夜色の外套を持つ魔人がいた。 魔人の胸には、無数の小さな瓶が吊られている。 瓶の中で、人々の眠りが青い煙になって渦巻いていた。
「返して。眠りは誰かのものじゃない」 魔人は笑った。 「ならば、私を眠らせてみろ。千年、眠れない私を」
【4 魔人の孤独】 魔人は、昔、森に生まれた最初の夜だった。 誰もが眠りにつくたび、彼だけが夜を見張っていた。 やがて人々は眠りを恐れ、夢を悪いものと呼び、彼を封じた。 長い孤独の中で、魔人は眠りを集めれば、誰かがそばにいると思ったのだ。
ユウは怒らなかった。 イヤリングを揺らし、ネックレスを握り、魔人の鼓動に耳を澄ませた。
「君が欲しいのは、眠りじゃない。隣にいる音だ」
【5 森の記憶】 ユウは地面に手をついた。 土の下から、遠い昔の森の声が返ってくる。 干ばつの年、ユウが水たまりへハムスターの群れを導いた日のこと。 小さな命たちは、互いの体温を寄せ合い、乾いた夜を越えた。
「ひとりで夜を越えなくていい」 ユウがそう言うと、背負い物の中からハムスターたちが顔を出した。 小さな足音が、森の鼓動に重なった。
【6 夢の種】 ユウは村人たちを呼び、眠りの瓶を無理に奪わず、一つずつ土へ埋めた。 瓶は根となり、根は枝となり、枝には淡い夢の実が実った。 村人たちは、失っていた夢を少しずつ思い出した。 魔人はそれを見つめながら、初めて自分の外套を脱いだ。
けれど最後の瓶だけは、黒いままだった。 その中には、魔人自身の眠りが閉じ込められていた。
【7 眠れない者】 ユウは瓶を割らず、魔人の隣に腰を下ろした。 二人の間を、夜の草が静かに揺れた。 眠りを取り戻した村も、まだ完全には静まらない。 悲しみも恐れも、すぐには消えないからだ。
「眠れなくてもいい」 ユウは微笑んだ。 「朝まで、ここにいる」
魔人は長いあいだ黙っていた。 やがて、その黒い瓶から、ひと粒の星がこぼれた。
【8 朝の手前】 空の端が、ほんの少し青くなった。 小鳥が一羽、眠そうに枝へ降りる。 魔人の角には、夢の実から伸びた若葉が芽吹いていた。
ユウは立ち上がり、村と森を見渡した。 争いのない故郷は、まだ遠い。けれど今夜、誰もひとりではなかった。
眠りの魔人は、まだ眠っていない。 それでも、隣で聞く鼓動を覚えたように、静かに目を閉じた。