エニモンネーム : ナオン
ユーザーネーム : ミロク
エニモンの種族 : アヤカシ
エニモンの容姿 : 女性
エニモンの年齢 : 20代~
好きな世界 : ネイチャーワールド
好きなテイスト : 和風
好きな色 : #ff8971
好きな動物 : アルマジロ
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年10月27日11:53
幼い頃、森を荒らす火災からアルマジロを救い、自然は支配するものではなく共に生きる友だと学んだ。以来、青空を見上げて心を整え、弱き命を守るため妖術を磨いてきた。争いでは力より調和と対話を選ぶ。旅を続ける。
アルマジロの憂鬱
朝、ナオンは町はずれの宿で目を覚ました。 窓の外には、薄い青空と、ほどけた雲。 長いピンクの髪を結び、黒と白の着物風の衣服に袖を通す。 足もとでは、装甲をまとったアルマジロが、ため息をついていた。
「今日も、たいしたことは起こらないね」 ナオンが言うと、アルマジロは丸くなった。 彼の名はコロ。幼いころ、森の火から救った友だ。 あの日から二人は、いくつもの町と季節を旅してきた。
市場へ向かう道で、ナオンは空を見上げた。 青は心を静かにする。 けれど今日は、胸の奥に小さな風が吹いていた。 コロだけが、それに気づいていた。
広場では、ひとりの青年が壊れた風見鶏を抱えていた。 旅の修理屋らしい。淡い茶色の髪に、雲のような笑顔。 彼は脚立から落ちかけ、ナオンが妖術で風をやわらげた。 風見鶏は、くるりと空を指した。

「助かった。君の風は、やさしいね」 「争うのが苦手なだけです」 ナオンがそう答えると、頬が熱くなった。 次の瞬間、彼女の身体は、ころん、と丸くなった。コロは驚かなかった。 青年だけが、しゃがみこんで彼女を見つめていた。
広場の子どもたちは笑い、魚屋のおばさんも声を上げた。 ナオンにはある癖があった。恥ずかしくなると顔が赤くなってしまうのである。だから、小さくしゃがんで丸くなってしまう。 いつものことだった。
「……笑わないの?」 丸い殻の内側から、ナオンが尋ねた。 「笑う理由がないよ。君の風はとても綺麗だった」 青年の声は、雲の切れ間から差す光のようだった。
ナオンは、ますます丸くなった。 コロはその横で、憂鬱そうに空を仰いだ。 どうやら自分の大切な友だちを、誰かに奪われる気がしたらしい。 甲羅のすき間から、小さな鼻息が漏れた。
午後、二人は風見鶏を屋根へ取りつけた。 青年の名はユウ。壊れたものを直しながら旅をしているという。 ナオンは森の火のこと、コロを救った日のことを話した。 ユウは急かさず、最後まで聞いた。
「自然は、言うことを聞かせるものじゃないんです」 「うん。だから君の術は、風を押さえつけないんだね」 「……見ていたんですか」 また、ナオンは丸くなった。
夕暮れ、風見鶏が鳴った。 赤い雲が空を流れ、ナオンの花飾りがかすかに揺れる。 ユウは旅の地図を広げ、北の谷にある白い森を指した。 そこには、枯れかけた花畑があるらしい。
「もしよければ、一緒に行かない?」 ナオンは答えず、空を見上げた。 青はもう薄く、夜へ向かっていた。 コロは丸いまま、けれど少しだけ彼の靴に近づいた。
帰り道、ナオンは何度も転びそうになった。 胸の中に、今まで知らなかった重さがある。 それは悲しみではなく、明日を待つための重さだった。 コロの甲羅には、夕日の色が映っていた。
宿の前で、ユウは手を振った。 「また明日」 その言葉だけで、ナオンは耳まで赤くなり、ころんと丸くなる。 今度は、誰も笑わなかった。
コロだけが、長いため息をついた。 けれどその音は、憂鬱というより、 新しい季節の入り口でこぼれた、 小さな祝福に似ていた。