エニモンネーム : リート
ユーザーネーム : ミロク
エニモンの種族 : ウィザード
エニモンの容姿 : 男性
エニモンの年齢 : 30代~
好きな世界 : ヒューマンワールド
好きなテイスト : カートゥーン
好きな色 : #008000
好きな動物 : 猫
好きな年代 : default_value_here
投稿日 : 2026年10月27日11:32
科学文明と魔法文明の架け橋を夢見るウィザード。幼い頃、実験事故から救ってくれた猫を師と慕い、猫と暮らす。理性を尊ぶが、命に関わる選択では規則より弱者を選ぶ。魔法楽器で、種族間の偏見を癒す音楽を奏でる。
猫師匠
朝の工房で、リートは魔法楽器の弦を磨いていた。 緑の髪、緑の瞳。白いシャツの上に、紺の刺繍ローブをまとっている。 胸の緑石が淡く光り、幾つものブレスレットが、かすかに鳴った。 窓辺では、灰色の猫が、いつものように彼を見張っていた。
猫の名は、ニャル。 幼い日の実験事故で、炎の中からリートをくわえて運び出した師匠である。 以来、彼は猫と暮らし、科学と魔法を結ぶ道を探してきた。 その日も、異なる種族の子どもたちへ音楽を教えるはずだった。
けれど空が、割れた。 青い天井に黒い亀裂が走り、星のない闇が、街へ流れ落ちてくる。 魔法塔の鐘が鳴り、機械都市の警報が重なった。 「世界の境界が、崩れている!」
亀裂からこぼれた闇は、触れたものの魔力も電力も奪った。 街灯が消え、魔導列車が止まり、人々は互いを疑い始めた。 魔法使いは科学者を責め、科学者は魔法使いを責めた。 その間にも、闇は大きくなっていった。
リートは古い記録を開いた。 亀裂の中心には、二つの文明が昔ひとつに作った「調和炉」がある。 炉を再起動するには、科学の周波数と魔法の旋律を重ねなければならない。 だが、その設計図は、百年前の戦争で失われていた。
ニャルが机から跳び下り、床を歩いた。 そして、棚の奥に隠れていた小さな箱を前足で叩く。 中には、猫の爪あとが刻まれた古い結晶板があった。 「師匠……これを、ずっと持っていたのか」
結晶板には、調和炉への道と、最後の旋律が記されていた。 リートは科学者の少女ユナ、獣人の修理工ガルドと手を合わせた。 三人は地下線路を進み、闇に取り込まれた炉へ向かった。 互いの違いを笑う余裕は、もうなかった。
炉の前で、ガルドが叫んだ。 「魔法だけでは動かない。機械だけでも足りない!」 ユナは震える手で装置を直し、リートは楽器を構えた。 ニャルは彼の肩に乗り、耳をぴんと立てた。
旋律が始まる。 低い音は土のように響き、高い音は、遠い星のように揺れた。 ユナの機械が音を読み取り、ガルドの爪が焼けた配線をつないだ。 闇は三人のあいだに入り込もうとしたが、音は途切れなかった。
最後の一音を、リートは弱く吹いた。 それは、幼い彼を炎から救った猫の、静かな喉鳴りの音だった。 調和炉が目を開き、黒い亀裂は、ゆっくりと閉じていく。 世界は救われた。けれど、完全に元へ戻ったわけではなかった。
街には、壊れた塔と、止まった列車が残った。 それでも魔法使いと科学者は、同じ場所で修理を始めていた。 リートは猫を抱き上げ、緑の石を撫でる。 ニャルは返事の代わりに、彼の鼻先へ小さなくしゃみをした。
救ったのは、ひとつの力ではなかった。 違うものが、違うまま耳を澄ましたこと。 リートはそう気づき、工房の扉を開ける。 その背後で、猫師匠の首輪が、次の冒険のように鳴った。