種族:ウィザード
永遠の魔法少女
【1】 雷鳴の夜、ここねは犬の遠い子孫、ルゥと暮らしていた。 青い長髪が風にほどけ、星形の杖が窓辺で淡く光る。 「魔法は、弱い命を守る灯。支配するためのものじゃないよ」
【2】 ここねには、誰にも言えない契約があった。 魔法少女は、魔法制服を着なければ変身できない。 そして制服は、歳を重ねるほど、少しずつ似合わなくなる。
【3】 だから彼女は、寿命を一年捧げるたび、制服を着られる時間を延ばした。 紺色のブレザー、青いリボン、金色のボタン。 鏡の中の少女は笑ったが、その笑顔の奥で、時計の針が減っていた。
【4】 ここねは犬たちと話す魔法を研究し、争いのない街を夢見ていた。 街の子どもたちは、彼女を「星のお姉ちゃん」と呼んだ。 けれど、邪悪な影は、平和な日常のすき間から忍び寄ってきた。

【5】 空が黒く裂け、イビルバラモントが降り立った。 「世界は、恐怖でひとつになる。逆らう者は、すべて消す」 大地が震え、家々の灯がひとつ、またひとつ消えていった。
【6】 ここねは杖を掲げ、最後の変身を果たした。 星の光が制服を包み、青い瞳に決意が宿る。 しかし敵の一撃は重く、彼女は瓦礫の向こうへ吹き飛ばされた。
【7】 「ここね先生、立って!」 駆けつけたのは、彼女が育てた魔法少女たちだった。 一番弟子のゆかりが、震える手で仲間へ合図を送った。
【8】 犬たちは敵の足音を読み、猫たちは避難路を示した。 魔法少女たちは、それぞれの小さな光を重ねていく。 ひとりでは届かない星も、夜空なら無数に輝ける。
【9】 ここねは立ち上がった。残りの寿命は、あと一年。 それをさらに捧げれば、もっと強くなれる。 けれど彼女は、静かに杖を下ろした。

【10】 「私は、永遠になるために生きるんじゃない。 永遠に続く意志を、育てるために生きるの」 仲間たちの魔法が、ここねの星へ集まり、巨大な光となった。
【11】 イビルバラモントの闇は、光の中でひび割れた。 「ひとりでは勝てぬはずだ!」 「そうだよ。だから、私たちはひとりじゃない!」
【12】 邪悪の化身は消え、街に朝が戻った。 けれど、ここねの身体は、薄い光へ変わり始めていた。 ゆかりは涙をこぼし、彼女の手を強く握った。
【13】 「ゆかり。私の制服をあげる」 「そんな……先生がいなくなったら、私は……」 「私と同じ道じゃなく、次の世代を育てて。力は、渡せるから」
【14】 ここねは、青い瞳で仲間たちを見つめた。 「一人より、力を合わせたほうが、どんな闇も跳ね返せる」 その声は風になり、制服だけを残して空へ昇った。
【15】 ゆかりは制服を抱きしめ、星の杖を握り直す。 やがて街には、新しい魔法少女たちの笑い声が咲いた。 永遠の魔法少女は、ひとりではなく――受け継がれる意志として、今も夜空にいる。
ここねは魔法少女だった。
でも、魔法少女になるにはある一つの契約があった。制服を着ることである。
制服は残念ながら、歳を重ねるごとに似合わなくなる。逆に歳に合わせて似合う服が変わる。そういうものだった。
でも、魔法少女・・・・・・・・・・・➡